大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和26年(れ)2393号 判決 1952年5月16日

本籍

群馬県多野郡日野村大字上日野五〇九番地

住居

同所三二五番地

農業

新井なべ

大正二年六月二日生

右の者に対する放火被告事件について、昭和二六年六月二五日東京高等裁判所の言渡した判決に対し、被告人から上告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人橋本順の上告趣意第一点について

所論は、原判決は旧刑訴法事件の控訴審及び上告審における審判の特例に関する規則に基き本件控訴を棄却したのであるが、右規則は憲法七七条の解釈を誤り裁判所規則制定権の範囲を逸脱して制定された無効のものであるから、右規則を適用した原判決は憲法三一条に違反するというのであるが、右規則は憲法七七条に定める最高裁判所の権限の範囲内に属し、かつ直接には刑訴施行法一三条に基くものであり、すなわち法律によつて委任されたものであるから、憲法七七条、三一条に違反するものでないことは、昭和二四年(れ)第二一二七号同二五年一〇月二五日大法廷判決の示すところであるから、論旨は採用できない。

同第二点第三点について

論旨はいづれも刑訴四〇五条に定める上告理由にあたらない。

なお記録を精査しても本件に刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴施行法三条の二刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例